「キリスト者九条の会」北九州、講演会    担当報告 : 広報部会


5月10日(日)午後、カトリック小倉教会に於いて昨年の5月21日
北九州地区に発足した「キリスト者九条の会」北九州
代表、上西創造さん(日本キリスト教会、小倉教会)の主催する記念講演会が
「日本カトリック正義と平和協議会」会長、松浦悟郎司教さま
(大阪大司教区補佐司教)を講師に迎えて行われました。

〜キリスト者はなぜ憲法九条を大切にするのでしょう〜
講演のはじめに松浦司教さまは、私は「憲法九条」の話しをするときは
カトリック教会内でも・・市民団体に呼ばれて話しをするときでも
福音宣教をしているのと同じ気持で話しをします・・今日は、キリスト者として
特に福音的な部分を意識してお話ししたいと思います・・と言われ、
正平協(日本カトリック正義と平和協議会)の基本理念とも言える
〜人は、神から与えられた「人間の尊厳」を犯すことはできない・・・
福音は、一人ひとりの人間の尊厳(人権)に拘ることによって
この世界全体の人々を大切にし・・平和な世界を築くことに結びついている〜
平和憲法と言われる「日本国憲法」について、福音的と・・解釈される法令文を取り上げて説明し
現在の平和憲法を改憲して行こうとする国家権力の働きや政府の解釈改憲による
権利の剥奪や、弾圧とも言える動きは「人間の尊厳」を踏みにじることであり
「憲法」にある福音的なものを切ってしまおうとしていると話されました。

過去の歴史の反省の上に立ち、国際社会が戦争を違法であり認められないとしているなか
日本国憲法は更に「憲法九条」で、平和国家であるがために交戦権を否認する・・・
1、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。
2、前項の目的を達するため、陸海軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。・・・と、している。
〜攻められる心配が無くなったから非武装をはじめるのではなく・・
戦争の無い状態をつくるために非武装になる・・これは選び取りなのだ〜
戦争をしないことが過去に犯したことへの償いの道であり・・和解の源なのです・・・。

ところが現在・・軍事力と言った面で世界を見ると・・自衛権の行使と言う名目のもと
自衛隊法により実質的な軍隊である自衛隊が組織されている日本は、
かなり高い水準の軍備があると言わざる得ないでしょう・・・
アメリカの軍事力を100とした場合、日本は70くらいのレベルにあると言われています・・。
それでも「憲法九条」という網がかけられているがために、世界の人々・・アジアの人々から
日本は二度と戦争をしない・・平和国家であると言われています・・。
二度と過ちを繰り返してはいけない・・和解のために・・世界から生み出され
世界から与えられた・・宝である「憲法九条」を守り・・広めて行かなければならないと思います・・。

北九州地区で初めて行われたキリスト者九条の会「憲法九条」についての講演会・・
「日本カトリック司教協議会」によって設立された委員会である正平協の活動、
主張に対しては・・確かに事柄によって、教会内外からの様々な批判も耳にしますが・・
1967年の教皇パウロY世の呼びかけに始まり・・1982年の教皇ヨハネ・パウロU世の
広島での平和アピール・・2000年「いのちへのまなざし」、2005年「非暴力による平和への道」などを
踏まえての松浦悟郎司教さまのお話しは、福音に照らし合わせた分かりやすいものだったと思います。
宗教観などから政治的な問題に対して・・という、アレルギー的な捉え方をされる方も
居られるかとは思いますが・・今の自分たちだけが平和で満たされていれば良いのでしょうか?
「人間の尊厳」は人と人との関わりにおいて生じるもの・・キリスト者として現代社会に生きる
私たちが基本とすべきは何なのかを・・考えさせられる気がしました。

松浦司教さまの講演をダウンロードして聴くことができます。


(1h07′06″)