第3回、地区典礼部会研修会    担当報告 : 典礼部会


1月31日(日)年間第5主日の午後、カトリック小倉教会において
「北九州地区信徒使徒職協議会、典礼部会」主催の典礼研修会が行われました。

第3回目となる今回は、日本カトリック神学院福岡キャンパスで大神学生の養成を
担当して居られる、嘉松 宏樹 神父さま(長崎教区司祭、典礼学担当)を講師に迎え
「ことばと しるし」と言う・・典礼において最も意味深い、お話しをしていただきました・・。

はじめに、嘉松神父さまは・・「典礼」と言う、ことばの本来意味するものについて・・
もし神学校で「典礼」とは何か定義しなさいといわれると・・答えは、「典礼」とはイエス・キリストの
祭司職の行使である・・と、典礼憲章7番の言葉がひとつの解答であると言うことになります。
つまり・・イエス・キリストご自身が祭司として働かれるということなんですね・・。
祭司は・・神さまに対して栄光を捧げ、人間に対しては・・神さまからの聖なるものになる力を
与える(取り次ぐ)・・ということなんですね・・。「典礼」はイエス・キリストの働きであり・・
この礼拝は、私個人の業ではなくて・・教会共同体の業であります・・と、
「典礼」そのものの意味するところから分かりやすく、お話をしてくださいました。

「しるし」について・・「見えないものの見えるしるし」・・と、して。
私たちの日常の生活の中の行為などの例を取り上げ・・説明を加えて話し・・
美しさを表現しようとする行為、料理や茶道などについても話し・・ミサの中での表現として
「見えないものの見えるしるし」として使われているもの・・パンや葡萄酒、水、香、聖水などに
ついての、見える形で・・見えないものを表わそうとしている「しるし」の意味について
神学校の講義のように・・?何名の方かに質問しながら説明し、日常生活でも
あるいは信仰生活においても「見えないものの見えるしるし」を豊かに使っていますね・・・。
「見えないものの見えるしるし」の根源は、イエス・キリストさまご自身なのです・・
なぜならキリストさまは・・見えない神さまが見える人間の姿を、お取りになったからです・・。
「典礼」において・・感覚的な「しるし」で、神さまの聖なる力や人間の捧げる祈りなど・・
色々なものが表現されます・・。それは、イエス・キリストが・・見えない神さまが見える
お姿になられたと言うことと直接つながっていると言うことなのですと・・話し
ミサに見られる動作の意味に入る前に・・皆さんは・・もうご存じでしょうが、と前置きし・・
ミサの構造から「ことばの典礼」「感謝の典礼」での「見えるしるし」は何かを説明をしていただきました。

立つ、座る、跪く、礼・・ミサに見られる動作の意味では、まず「集まる」と言う
動作からミサは始まります・・。個人の集合を超えた全体としての・・キリストの教会としての
ひとつの身体を、つくり上げることになるのです・・と話し、先に上げた4つの行為について
「立つ」は、復活のキリストの姿であり・・敬意を伴う行為、準備ができていると言う心を表わします・・。
入堂行列の時に立つのは・・司祭の姿を通してキリストを迎えると言う意味なのです・・。
「座る」と言うのは、典礼的には「聴く」と「観る」を表わす姿勢です・・「聴く」は、聖書の朗読の時など
「観る」は、供え物の準備の時などですね・・と、ミサにおける動作の一つ一つについて
「見えないものを見えるしるし」で表現していると言う意味あいを話され、シンボルとして・・
「しるし」としての確認をしながら話され休憩に入りました・・。

講演後半の初めに、参考書として現在のミサ典礼の基盤となる公会議からの
典礼に関わる書籍を皆さんに紹介しながら話し・・「ミサの各部の意味」について、
お話しをしてくださいました。「開祭の儀」では、歌がミサを始めること・・会衆が一致すること
典礼季節と祝祭の神秘への導入の意味合い・・入堂行列を飾る(美しくする)・・
また、司祭の祭壇(キリストのシンボル)への表敬の意味や会衆への挨拶の意味、沈黙の
必要性と、その意味からイエスへの呼びかけ・・などなど・・司祭が一人で祈っているように
勘違いなさっているかも知れませんが・・実は「司祭の祈り」は決して・・
この人たちの祈りを・・ではなく私たちの祈りを・・に、なっています・・。
ここに集まった会衆・・全ての私たちのです・・と、一つ一つの深い味わい(意味)を話され・・
ミサの各部について解説し・・小教区のミサ典礼において誤りやすい事柄も例に上げ・・・
また、「感謝の祭儀」の解説では「ことば」の意味も・・司式司祭の動作も「しるし」であると詳しく話し・・
ミサに限らず典礼とは・・「ことば」と「しるし」によって、「見えない真心を
見える形で神さまと人に表わす」ことなのですと結び・・質疑応答に入りました。

講演の最後に設けられた質疑応答の時間には・・修道会などの小さな共同体での
ミサや典礼における改善すべき点から、教会共同体で典礼奉仕に携わる者の疑問点や・・
小教区の典礼を任された司祭の悩み?なども出されるなか・・時間一杯まで
それぞれミサ典礼に与る者として実践的な工夫の部分までを、お答えいただきました。

いつもの大神学院での講義とは違い・・?ことばを選びながら・・
時折、長崎弁で楽しいお話を交えながら・・笑いを取り・・分かりやすく深い
意味合いまでも、お話しをしていただけたことを感謝いたします・・。
「ことば」と「しるし」・・「見えないものの見えるしるし」を、これまで以上に感じながら・・
神さまへの感謝と賛美の祈りを捧げて行けたらと思います。


嘉松 宏樹 神父さまのお話しをダウンロードして聴くことができます。

 (講演1)         (講演2)
  
 (44′00″)       (53′39″)